NO.010 木下典明 レポートNO8 [ 2006/03/06 ]

キャンプ最後のスクリメージの日の翌朝、
湿地の多いフロリダ特有の霧がまだタンパの街全体を覆っているとき、
チーム最終ロスターはひっそりと発表される。

カットされる選手は、早朝5時頃に部屋をノックされて起こされ、
すぐに荷物をまとめてホテルを出発するように指示される。
6週間、寝食を共にしたチームメイトと最後のお別れをする時間も無く、
カットされるナショナル選手は翌日には本国に帰されてしまう。
プロの厳しい世界である。

ボーダーラインぎりぎりの選手は、音に敏感になる夜をベッドで過ごす。

今年、はじめてナショナルキャンプを生き残り、本キャンプに参加した堀龍太選手は、
ボーダーライン上の選手。
キャンプの疲れが蓄積して眠いはずなのに、合否が気になり、
朝3時に目が覚めてしまってからほとんど眠れなかったという。
そんな堀選手の部屋には、結局、最後までノックの音は響かず
堀選手もチームにみんなと残留することできた。
国際基督教大学(ICU)アメフト部(3部)出身という異色な経歴ながら、
みごとな成長である。(これは努力の賜物)

そんな堀選手を含む、日本人全員が無事ヨーロッパ行きの切符を手にすることができた。
木下典明にとっては、最終ロスター発表は通過点に過ぎない。
ここで、つまづいているようではNFLは夢物語。
最後のスクリメージではスタッツ(記録)こそ無かったが、
バート・アンドリュースヘッドコーチの彼の評価は耳を疑ってしまうほど高い。
勝敗の全責任を負うヘッドコーチが日本人の木下をパントとキックオフリターナー
として開幕から先発で起用するのだから、大きな信頼が容易に覗える。

レシーバー陣は合計7人がキャンプに参加したが、
チームに残ったのは木下選手を含めたったの4人。
パス主体のアドミラルズオフェンスにしては少ない気もするが、
それだけコーチが木下の能力を計算しているということ。
あとはどういう活躍が出来るかを見ておくだけだ。

問題は、試合でQBにパスを投げてもらえるかどうかである。
練習で、木下選手がフリーになっているのにQBが彼をすぐにチェックしていないので
パスが飛んでこないというケースも多々あった。
QB心理としは、当然パス成功率を気にするので仕方ない。
確実にとってくれそうなターゲットに投げたくなるのは、当たり前のことだ。
だから、実際に木下選手が練習や試合でキャッチを重ね、コミュニケーションをし、
QBの信頼を勝ち得ていくしか、この解決策はない。

英語でコミュニケーションが満足に出来ない木下にとっては、フラストレーションが
溜まるだろうが、取材を通じて、
昨年よりもチーム内での木下お存在感がおおきくなっていることは間違いない。
選手達は長いキャンプが終わって、これから2日間のオフ。
今晩は、タンパで日本人選手がお世話になった通訳を囲んでの
サンキューディナーを韓国料理店で食しました。 
写真は左が将人さんで、右がスティーブさん。
日本人選手が成長するためのキーパーソン。
将人さんとスティーブさんとは、この日でお別れです。

スティーブさん、将人さん、選手達が本当にお世話になりましたありがとうございました。


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