| いまアメリカで、最もスポーツファンの関心の高い話題がステロイド問題である。
ステロイド使用疑惑に浮上してくるアスリートは、メジャリーグのバリー・ボンスや陸上のマリオン・ジョーンズなど大物ばかりで、アメリカのみならず、世界で大きな波紋を呼んでいる。
ステロイド開発のルーツは、一説によると、病床の末期がん患者が寝たきりでも筋肉が衰えないようにするためだったそうだ。そんな薬を体に注射して、筋力トレーニングをするなど末恐ろしいことである。 身体を鍛えるトップレベルのアスリートは、常に自分の肉体の限界と戦っている。鈍化した自らの成長曲線を上昇させ、ライバルとの競争に勝つために日々効果的なトレーニング方法を模索している。
ステロイド使用者の証言によると、それまで使用していたプロテイン類とは比べ物にならないくらい目に見えて、しかも、短期間で体がみるみる大きくなるのだという。これまでに経験したことのない身体の肥大化が、また新たなモチベーションとなり、狂ったように筋力トレーニングに没頭しだすのだそうだ。ステロイドを使用している期間は、精神的にも高揚し、疲労を感じなくなるという。
もちろん、ステロイドは大きな副作用も併せ待っている。内臓にかかる負担は計り知れない。怪我をしてしまうと、筋肉に比べて関節は成長していないため完治までは普通の2、3倍の期間を要する。摂取をやめても、成長ホルモンの分泌バランスがくずれてしまっているので、自律神経を侵され、鬱になり、最後は自殺するケースも数多く報告されている。
ステロイドは、一度手を出してしまうともうやめられない、覚せい剤と同じ危険な薬物なのだ。
禁断の果実に手を出して得た成功は、幻想に過ぎない。人生どこかで必ず帳尻が合ってくるもの。最近のステロイド報道で、スーパースターの失墜が報じられるたびに、人生に近道はないのだいうことを痛感させられる。 |