2007年UG report

2007/04/11 NFLヨーロッパ2007キャンプレポート Vol.2


NFLヨーロッパ インターナショナル・キャンプのヘッドコーチを務めるトニー・アレンがキャンプを締めくくる最後のハドルで、「今回は史上最高のタレントレベルだった!」と自画自賛したほど、今年のインターナショナル・キャンプに参加した86人のメンバーは、一様にハイレベルであった。誰をカット(解雇)するべきかを決めかねたコーチ陣は、当初の予定を大きく上回る68人の選手を次のチームキャンプに参加させることで対応したのだという。そして、7人の日本人候補選手も無事カットを切り抜けて、それぞれ次のステージに進むことになった。

そんな中、今年のビックサプライズとなったのが「特別強化選手」だった萩山竜馬(東北大4年)のチームキャンプ参加決定の報である。インターナショナル・キャンプでコーチ陣に存分にアピールをした萩山は、その潜在能力を認められ、日本に帰国せずにそのままフランクフルト・ギャラクシーのキャンプに参加することが決まったのだ。これは異例の出来事である。

萩山に対するコーチ陣の評価はどれも驚くほど高い。NFLヨーロッパで9年WRとしてプレイした経験を持つメキシコ人コーチのマルコ・マルトスは、竜馬の動きをみるなり私に聞いてきた。「あの黄色いスパイクを履いた選手は誰だ?あいつは荒削りだが、いいスピードを持っている。それに捕れるボールを絶対に落とさない集中力がいい。キャッチは天性のセンス。キャッチがいい選手はテクニックを学ぶとどんどんうまくなっていくからな!」

マルトスコーチが語ったように、萩山のキャッチングセンスはこのキャンプで光っていた。ルーキーの日本人WRは、まず外国人QBが投げる球の速さや球筋に驚くのだが、萩山はすぐにそれに対応し、練習中、キャッチャブルなボールをほとんど落とさなかった。すでに指先だけでボールをキャッチする「フィンガーキャッチ」の基本が身についていて、スムーズに対応して見せたのだ。本人は平然とした態度で、「外国人の球筋はスパイラル(回転)がよくかかっているからキャッチがしやすいんです。」大物ぶりを予感させるコメントを残した。

萩山の磨かれたキャッチングセンスのバックボーンとなっているのは、高校時代までプレイした野球経験にある。「昔から打つことよりも、捕ることのほうが好きだったんですよ。だから、ずっとショートストップを守っていました。」というほど、本人は捕球動作そのものが好きなのだ。話を聞いていると「キャッチは誰にも負けない」という自負を持っているようでもあった。

前述のトニー・アレンによると、萩山をチームキャンプに残すという異例の決断理由について、「ハギヤマは1年目とは思えない適応力をこのキャンプで見せていた。さらに高いレベルの経験を積めば、もっと伸びる可能性を感じたからだ。」と、潜在能力を高く評価したこと明らかにした。

さらに、NFLを目指す木下典明(立命館大卒)も、インターナショナル・キャンプで見た萩山の能力の高さに感心していた一人であった。「彼はなかなかいいです。サイズもスピードもあるのでまだ伸びますよ。」と語り、期待の大型新人の出現に、刺激を受けていたようだ。萩山の才能に光るものを感じた木下は、指導役も買って出た。「竜馬、チームキャンプに集まる本場のアメリカ人選手は、QBの球の速さ、DBの寄りの速さ、そしてヒットの痛さ、これまでと全然レベルが違うぞ!心の準備をしっかりしろよ!」

7人の日本人選手は、現在、3月14日より始まったチームキャンプの真只中にある。「特別強化選手」だった萩山選手も、もちろんここでもコーチにアピールできれば、レギュラーシーズンロースター入りの可能性はある。ここからは、これまでの実績は関係ない。ヘッドコーチに戦力として認められるかどうか、にかかっている。

4月14日のNFLヨーロッパ2007シーズン開幕戦のフィールドには、果たして何人の日本人選手が立てているだろうか?そして、竜馬のミラクルストーリーは続くのか?